私、もともとカビの研究をしてましたから。カビのことはうるさいですよ(笑)。ハウスダストの原因の1つですので、アトピーやアレルギーなどの方は気をつけないといけませんが、ほとんどの方にとって多くのカビは安全なものなんです。お酒になったり、薬をつくったり、酵素をつくったり、ね。見た目は気持ち悪いですが、それをすべて悪というのは間違いです。まあ、カビが気持ち悪いというのもわかりますが…私も大学時代にコンパに行ってカビの研究をしていると言うと、女の子は ドンビキでしたから(笑)…
多くの場合、カビやバクテリアなどの菌を防ぐために薬剤を使うわけですよ。その方がずっと悪いです。いい例がお風呂。いま入浴施設も湯上りはプール臭い。塩素を使って菌を防いでいるのです。塩素はアトピーがひどくなりますし、副産物のなかには発がん性もあるとも言われていますし。見た目は菌がないようになっていますが、結局は害のあるものを投与することで抑制しているだけ。レジオネラ菌がいい例ですが、レジオネラ症になるのは免疫力の少ない人だけで、健康な人はかからないんです。そのひと握りの免疫力の少ない人のために、健康な人まで塩素をまき散らされるわけです。健康被害、本末転倒なんですよね。過敏になりすぎなんです。私たちの周りにはたくさんの微生物がいますが、悪いものはその中でもほんの一部にすきません。その一部の悪い菌が体内に侵入しないようにするためには免疫力をつける必要はあります。この免疫力をつけるひとつの手段が、日ごろからいかに様々な菌と共存して暮らしているかということなんです。ですから何でもかんでも薬剤をまいて菌を環境から完全に排除しようというのは間違いだと思っています。ですから子どもには泥遊びをさせないといけない…畳に生えたカビも完全に排除することを考えずに多少なりとも共存していこうという発想が大事だと思っています。
畳に生えるカビは別に特殊なものではないんです。餅に生えるカビと同じようにパッパッと払っていただければ。別に食べるわけではないですしね。
とにかく今の住宅の悪いところをすべて畳が引き受けているようになっていますよね。住宅の気密性が高いために、室内の湿気や化学物質を畳が一手に引き受けて吸収してくれている。その結果、畳カビが生えると…畳が悪者になってしまっているんですね。
私には3歳と1歳の子供がいまして… 絶対に赤ちゃんは畳の上で育てるべきだと思います。寝るときも赤ちゃんは寝ゴザがいいです。ぐっすり寝れるんですよ。寝ゴザを外すと…私も研究者ですからいろいろ試すんですが…寝返りいっぱいうって睡眠が浅い。寝ゴザの上だと、特に暑い時期ですと、吸湿作用があって寝やすいんでしょうね。あと、イグサの入浴剤を入れたりもします。とにかくイグサにまみれて育ってもらおうと思っています。
イグサ(畳)の歴史は1300年以上ありますが、やはりモノが良かったから今のここまで生き残ってきたものだと考えています。モノが悪ければ歴史のどこかで廃れていた…私もイグサ以外で様々な農作物の機能性を探ってきましたが、やはりここでもイグサの素晴らしさを再認識させられました。まだまだ私もイグサ(畳)の良さを科学の力で証明していかなければならないなと思っています。
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