ニッポン的なモノを作る、あるいは、ニッポンを守り表現する…そんな人たちと、和らぎや店主、前田の対談企画です。第8回は、イグサの研究をされている北九州市立大学准教授森田洋先生にお話を伺いました。前編「畳と、子どもの集中力」後編「畳とカビ」に分けてご紹介いたします。まずは前編「畳と、子どもの集中力」から。
大学では博士課程までいきましたが、私、大学9年行っております。9年間も学生してましたから親に頭が上がりませんのですわ。そして、28歳で学位がとれ就職しました。初めての勤務先が八代高専(八代工業高等専門学校)だったわけです。八代はイグサの大産地なわけですから、そこでイグサと畳に出会うわけなんです。大学ではカビの研究を実質6年やっていました。紹興酒をつくるカビで、クモノスカビというんですよ。でも、その時からこの研究をやって世の中に何の役に立つんだろうか?という葛藤でした。で、八代で自分の研究室を構えてからは人の役に立つようなことをやりたいと思い、いろんな研究素材を探すなかでイグサに出会いました。
露骨に数字が違うんです。畳の教室で勉強したときにスコアを取らせるんです。<疲れた>とか<ものすごく疲れた>とか<全然疲れない>とか5段階で答えてもらいましたが、畳の教室の場合、<疲れた>と答えた子供が少ないです。でも普通の教室でやると、<疲れた>が多いんです。そういう面白いデータがいっぱい出てきました。
ただ残念ながら、もうひとつ解ったことがあって、小さい子どもじゃないとダメだな、ということなんです。大人はダメなんです。差がなかったです。おそらく畳があるなし関係なしに大人は集中力を持続したりコントロールしたりできるわけですよね。
まさにそうなんですよ。そういう追跡調査をやれるといいと思いますね。鍵を握るのは「6歳まででイグサの香りを嗅ぐか嗅かないか?」だと思っています。これはなぜかと言いますと、脳の発達の90%はこの時期に形成されるわけです。残り10%は7歳から20歳まで。ほとんど小学校に入るまでに決まってしまうんですよね。証明はなかなか難しいと思いますが、 「幼少期にイグサの香りを嗅いだことのその後の影響」。ぜひ調べてみたいですね。
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