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熊本県八代市、通称「やっちろ」は九州の中心部に位置する。イグサ・畳表の生産は全国一位の
田園工業都市だ。昨年夏に市町村合併が行われ、大型都市にもなった。ここ2年で市内にショッピングセンターが2つ開店し、3つ目も建設予定。田畑の中にポツンと近代的な九州新幹線の新駅は、現在は新幹線と特急の乗り換え地点になっている。付近も開発中で、市庁も近々引っ越してリニューアルするそうだ。このところ新旧入れ替わりが激しいまちである。 |
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2006年11月28日、やっちろの天気は薄曇り。そんな球磨川の河口部に広がる郡築干拓地に、イグサ生産者、南文雄さんを訪ねた。「和らぎや」の前田さんもご一緒だ。
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イグサは畳表に加工するために、150cmほどの長さに育てなくてはならない。熊本と言えば屋根瓦が飛ぶほど台風が激しく、イグサの茎が折れてしまうのではと心配になる。しかし聞けば、イグサは冬に育てるので、台風と時期がかぶらないということだった。
今回の目的は植え付けの見学。イグサはこの11月下旬に植え付けて、6月下旬に刈り取るものなのだ。補足だが、イグサ作りの期間を終えると、本田は水田なので稲作に使われるそうだ。 |
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ちょうど時期が逆だし、稲作でできた藁がイグサの土作りの肥料になるからだ。南さん曰く「稲はお米のためじゃなく藁のために作る」。稲作も大変だと思っていたが、このイグサ作りではそれが付属になるのが凄い。
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本田への植え付け作業には、まず苗の準備が必要である。
イグサはまず1年かけて苗を育てなくてはいけない。12月に一次苗畑に植え、8月にそれの優良株選抜をして二次苗畑に移し、11月に本田へ「植え付け」られるのを待つのだ。ちなみに、一次苗畑は本田面積の1/100〜150、二次畑はその1/10〜15である。
日中は二次苗畑で苗の掘り取り作業。畑には前後間隔10cmほどで、一掴みずつ密集して植えられている。
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その膝上ほどまでに伸びた苗を畑で掘り取り、一掴みずつ機械で泥落としをするのだ。それを5束ずつ紐でまとめておく。
イグサの植え付け方法は、手植え・機械植え・ポット植えの3種類ある。南さんは去年まで手植えだったが、今年は機械植えへ挑戦。日が落ちて畑仕事ができなくなってからは、納屋での作業。機械植えの準備をする。
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まずは、一掴みずつ固まっている掘り取った苗をほぐす。枯れた苗を選別しつつの作業は時間がかかる。実はイグサというのは、苗の時点で伸びている緑の茎は枯れ、横から生えている芽が伸びて商品となる。選別で抜き取る茎は、どうせ枯れる茎の仲間なのだ。選別をしなくてもイグサは勝手に育つ。しかし、この時点での選別が、より良く育てるのに大事なんだそうだ。
その後、苗の高さを切り揃える。機械は苗の高さが揃っていないと、間を抜かして植えてしまう。 |
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手で補植という2度手間になるのを防ぐため、機械で切り落とすのだ。一束ごとに手で運ばないといけないので、これも時間がかかる。
そしてカセット詰め。カセットというのは植え付け機械で使う苗の入れ物である。ここでは苗の高さが揃っていることと、隙間なく詰められていることが大事だ。このカセット詰めまでが下準備になる。この時期、八代の日中は「紅葉はこれから来る」ほど暖かいが夜はやはり寒い。でも、植え付け時期がずれると良くないので、夜遅くまでの作業が何日も続く。
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